立原道造と別所沼畔のヒアシンスハウス

詩人立原道造のヒアシンスハウスをご存知だろうか?コルビュジェの晩年のカップマルタンの小屋が有名だが、日本にも隠れた名建築があった!?
一九三七(昭和十二)年冬から翌年春にかけて、当時、葦がおい繁り静寂をきわめた別所沼の畔に、自らのために小さな週末住宅を建てようとしていたらしい。
立原は、詩誌『四季』を主な舞台として、青春の憧れと悲哀を音楽性豊かな口語で謳いあげ、わずか二十四歳八か月でその短い生涯。
また立原道造は、将来を嘱望された建築家でもあったようです。東京大学建築学科の卒業設計「浅間山麓に位する芸術家コロニイの建築群」で
構想した壮大な都市計画や、小住宅設計など現代にも通じる設計思想です。

 

 

●草稿「鉛筆・ネクタイ・窓」から [一九三八年秋頃執筆]

僕は、窓がひとつ欲しい。

あまり大きくてはいけない。そして外に鎧戸、内にレースのカーテンを持つてゐなくてはいけない、ガラスは美しい磨きで外の景色がすこしでも歪んではいけない。窓台は大きい方がいいだらう。窓台の上には花などを飾る、花は何でもいい、リンダウやナデシコやアザミなど紫の花ならばなほいい。

そしてその窓は大きな湖水に向いてひらいてゐる。湖水のほとりにはポプラがある。お腹の赤い白いボオトには少年少女がのつてゐる。湖の水の色は、頭の上の空の色よりすこし青の強い色だ、そして雲は白いやはらかな鞠のやうな雲がながれてゐる、その雲ははつきりした輪廓がいくらか空の青に溶けこんでゐる。

僕は室内にゐて、栗の木でつくつた凭れの高い椅子に座つてうつらうつらと睡つてゐる。タぐれが来るまで、夜が来るまで、一日、なにもしないで。

僕は、窓が欲しい。たつたひとつ。……

Haus Hyazinth / 風信子荘

Haus Hyazinth / 風信子荘

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Haus Hyazinth / 風信子荘
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Haus Hyazinth / 風信子荘

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Haus Hyazinth / 風信子荘

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http://designale.org/wp/wp-content/uploads/2017/01/25657856571_daa65a9557_c.jpghttp://designale.org/wp/wp-content/uploads/2017/01/25657856571_daa65a9557_c-150x150.jpgadminArchitectureヒアシンスハウス,別所沼畔,立原道造,風信子荘立原道造と別所沼畔のヒアシンスハウス 詩人立原道造のヒアシンスハウスをご存知だろうか?コルビュジェの晩年のカップマルタンの小屋が有名だが、日本にも隠れた名建築があった!? 一九三七(昭和十二)年冬から翌年春にかけて、当時、葦がおい繁り静寂をきわめた別所沼の畔に、自らのために小さな週末住宅を建てようとしていたらしい。 立原は、詩誌『四季』を主な舞台として、青春の憧れと悲哀を音楽性豊かな口語で謳いあげ、わずか二十四歳八か月でその短い生涯。 また立原道造は、将来を嘱望された建築家でもあったようです。東京大学建築学科の卒業設計「浅間山麓に位する芸術家コロニイの建築群」で 構想した壮大な都市計画や、小住宅設計など現代にも通じる設計思想です。   立原道造の夢みた建築posted with カエレバ種田 元晴 鹿島出版会 2016-09-08 Amazonでチェック楽天市場でチェック   ●草稿「鉛筆・ネクタイ・窓」から [一九三八年秋頃執筆] 僕は、窓がひとつ欲しい。 あまり大きくてはいけない。そして外に鎧戸、内にレースのカーテンを持つてゐなくてはいけない、ガラスは美しい磨きで外の景色がすこしでも歪んではいけない。窓台は大きい方がいいだらう。窓台の上には花などを飾る、花は何でもいい、リンダウやナデシコやアザミなど紫の花ならばなほいい。 そしてその窓は大きな湖水に向いてひらいてゐる。湖水のほとりにはポプラがある。お腹の赤い白いボオトには少年少女がのつてゐる。湖の水の色は、頭の上の空の色よりすこし青の強い色だ、そして雲は白いやはらかな鞠のやうな雲がながれてゐる、その雲ははつきりした輪廓がいくらか空の青に溶けこんでゐる。 僕は室内にゐて、栗の木でつくつた凭れの高い椅子に座つてうつらうつらと睡つてゐる。タぐれが来るまで、夜が来るまで、一日、なにもしないで。 僕は、窓が欲しい。たつたひとつ。……   立原道造の夢みた建築posted with カエレバ種田 元晴 鹿島出版会 2016-09-08 Amazonでチェック楽天市場でチェック  旬のネタをキュレーション!デザイン系情報BLOG